きれいな洗いの三要素について

品質造りの三要素、項目と詳細は下記へ。

第一要素「溶媒」〜 溶剤管理と液管理

第二要素「機械」〜 たたく力と生産性

第三要素「洗剤」〜 油と水の相乗効果

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きれいな洗いは「溶媒」「機械」「洗剤」の三機能連携システム

 

洗浄の目的は、どんな物からどんな方法でどんな汚れを落すのかということです。被洗物の素材によって@溶媒が選ばれ、溶媒が決まってA洗濯機
(ドライ機か水洗機か)がを選ばれ、被洗物の汚れは何かということでB洗剤がを選ばれます。

 

洗浄の問題は、水洗の場合では溶媒が水ですので油性の汚れの除去。ドライの場合では溶媒が油ですので水溶性の汚れを落すことが洗浄の中心になります。

 

対象となる汚染物質は大まかに分けて三つの組成で構成されています。

 

一つは水に溶ける@水溶性の汚れ。二つ目は油に溶けるA油溶性の汚れ。三つ目は水にも油にも溶けないB無機系の不溶性、固形分の汚れです。

 

汚れはこの水溶性、油性、不溶性無機系の三種の混合物質になっています。汚れを落すには、この洗浄の三要素である溶媒・機械・洗剤を複合的に作用させ、同時に連動させて初めて洗濯・洗浄力の効果が発揮されるわけです。

 

この溶剤・機械・洗剤の三つの特徴機能をどのように連携させて洗うかが洗浄システムのレベルアップには重要です。洗いの品質造りはこの溶媒・機械・洗剤の三要素によってつくられると考えます。

 

第一要素「溶媒」〜 溶剤管理と液管理

1. いつも清流のごとく澄み切ったきれいな溶剤

 

清流-1a.jpg古来より長い間洗濯は手もみ洗いの時代が続きましたが、1960年代の高度経済成長によって電気洗濯機が普及し、石油化学の発展により合成洗剤が出現して洗濯は手もみ洗いの時代から開放されここに機械化による洗濯革命がおこり商業洗濯が始まりました。

 

昔話に川で洗濯するおばあさんが川に流れてくる桃をみつけて「桃太郎」という話しは今でも子供心に頭の中に残っています。昔なつかし古里の川の流れはいつまでも清らかで川底まで透明で澄み切っています。

 

この山里の川の流れ、流が現在では水道水や地下水に代わり洗濯用水として使用されております。きれいな洗いをするには、まず洗濯液がいつも清流のごとく無色透明できれいな状態を保つことです。

 

日本クリーニング洗剤同業会では、品質管理のシールを製作してきれいな溶剤管理の普及を推進しています。

.同業会液写真.30%

 

ドライでは水洗のように一回一回洗うたびに液を捨てている訳ではありませんので、いつも溶剤を清流のごとく保つ事は大変困難です。無色透明・清流のような状態に溶液を保つことが「ドライの溶剤管理」の原点であり出発点と言えます。

 

2.人間も血液の循環、機械も溶媒の循環

サラサラの「循環」液管理は人間の体に例えますと、血液中のコレステロールや脂肪に似ています。血液がドロドロになり血管につまってしまうと脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こしてしまいます。

 

さらさらポスター

ドライ液もドロドロと汚れが溜まり、脂肪や酸化が上ってくると液が汚れて洗濯物の黄変や逆汚染が起こります。

 

溶剤に色が出て溶液が黒ずんできたのでは、白色の洗濯物に逆汚染がおこり白さが冴えなくなってしまいます。

 

血液もドライ液も循環している訳ですから、溶液はいつもサラサラにして不純物や汚れを取り除き新液のように無色透明の液にしておくことが溶剤管理の基本と言えます。

 

ちょっとの黄色がだんだん黄褐色になり溶液が黒ずんでしまいます。溶剤も助剤も澄み切った透明な状態を保つことが重要です

 

3.溶媒の液管理は品質管理 

ドライの溶剤や水洗の水のことを「溶媒」といいます。水洗いでは溶媒は「水」です。ドライでは溶媒は「石油溶剤」とか「パーク溶剤」です。

 

洗いの第一要素は「溶媒」です。汚れを洗濯物から取れ易くする為に衣類の繊維を湿らしたり、膨潤させたりする為に必要な媒体です。

 

透過率-1

クリーニングではこの洗濯溶媒を液体で利用しています。洗った後この液体を蒸発乾燥させて繊維から回収して再利用しています。

この溶媒「液体」が清らかに澄みきった状態になっているかどうか、液の透明度を写真の透過率計で測定診断します。

 

溶媒は人間でいえば血液みたいなもので、いつもサラサラな状態で健康管理することが健康の秘訣です。病気になったら一番最初に血液検査して病状を見つけるようにドライ洗浄でもトラブルが起きたときには溶剤検査をして原因を確める事が必要です。

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第二要素「機械」〜 たたく力と生産性

1.クリーニング業の幕開け 

19世紀になってから動力が開発され電気が使われるようになって産業革命が起こりました。電気を利用する商業洗濯が始まり、洗濯の生産性が高められました。

 

ドライクリーニングも西洋式洗濯として明治以降日本でも取り入れられるようになりました。商業洗濯は洗いを請け負うホールセールの時代から
自家ドライへの時代になり、そして集中処理工場スタイルからユニット、パッケージ方式の業態と変遷してきました。

 

どんどん集めてどんどん洗うという風潮は生産性のアップという時代の要請に応えて昭和の終りまで続いていました。この洗濯の第二の要素は「機械」です。

 

2.洗浄評価システムの研究 

平成11年(1999年)洗濯方法についての画期的な洗濯研究会がスタートしました。

 

ウェットクリーニングの研究でしたが、同時に家庭洗濯機と石油ドライ機の試験検証も行われました。実際の試験は十三回の洗浄方法で行われ、@洗浄時間A洗濯物の収縮率B損傷の程度を調べるMA(デンマーク製)布C工程時間D洗浄力を調べる人工汚染布(七種類)を使いスーツ上下十着といっしょに洗浄試験されました。

 

3.安心のMA値30以下の洗い

調査報告書によるとウェット洗濯では、衣類の損傷の目安となるMA(メカニカルアクション)値が30〜40程度ならば収縮率が3%以下でフェルト化が起こらない。MA値の30〜40を限度とするのが妥当と発表しています。

 

4.家庭洗濯機のMA値は54、石油ドライではMA値24

標準的な家庭洗濯機の洗いではMA値が54を示し、収縮率も6.1と6.5の数値の結果でした。

 

また今回のテスト中に厚生科学研究の石油ドライ機の洗浄試験のデーターでは、ドライ洗浄時間15分、工程時間20分の洗いでMA値はなんと24。MA30以下の安心洗いで理想的な数値を示していました。

 

ドライ機のタタキ洗いの効果は水で洗った家庭洗濯の洗浄率をほぼ上回っていてドライ機が水洗の家庭洗濯機以上の洗浄力を発揮していたという驚きの結果でした。

 

5.見逃せない機械のタタキ洗浄効果 

「まさか石油でドライでそんなことはないでしょう」と思われる方も少なくないと思います。

 

では、なぜウェットは思ったより汚れが落ちてないのでしょうか。「水に落とせばサッパリだ。完璧な汗抜きクリーニングするならウェット・水洗だ」と考えておられる方も多いと思います。

 

このサッパリ感や完璧な洗いというのは恐らくYシャツ洗いのようなMA値50以上の機械力でゴシゴシと水洗した洗濯のイメージを持っておられるのではないかと思います。

 

6.水洗機の標準洗いはMA値は50以上

水に浸けただけでは汗は取れても汚れは取れません。汗は水につけるだけで落ちる訳ですがシミや汚れや泥ホコリ、ゴミは機械力がなければ落ちません。やはりゴシゴシとワッシャーでもみ込んで洗わないと汚れは芯から落ちてきません。

 

しかしウールなどゴシゴシ洗うと洗濯物の損傷率、MA値が上がってしまい色泣きや縮み、変型等の事故が発生してしまいます。

 

7.家庭ドライは失敗のもと 

家庭洗濯機の標準洗いではMA値が52以上ありドライ洗い指定の衣類は事故になります。

 

洗浄力という点から見れば機械のタタいたりもんだりする機械力は見逃せない重要な要素です。ですから水に落としても十分な機械力が無ければ汚れは落ちません。

 

石油ドライで10分、20分と機械力を使ってもみこんで洗うことで総合的にウェット洗いよりも固形分は良く落ちるという結果をこの研究は示しています。

 

8.ドライ機の洗浄力アップ にタタキを活用

洗浄・洗濯の第二要素はこの「機械力」です。ドライ溶剤はMA値は24または30以下で損傷を与えないという特性を持っています。

 

また10分、20分と機械のタタキ効果を加えて洗うことで泥、ゴミ、ホコリなどの固形物の汚れも良く取れます。ドライ溶剤では取れないのは水溶性の汚れですが、水溶性に対する洗浄力は次の第三要素「洗剤」で決まります。

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第三要素「洗剤」〜 油と水の相乗効果

1.合成洗剤の出現と界面活性剤の開発 

天然油脂から石油を原料とする洗剤に製法が変わり、戦争が終わり石油がダブついて余ってしまった結果、洗剤の原料が安価に供給できるようになり化学工業が発展しました。

 

洗濯液(溶媒)が「水」と「油」の二種により、クリーニング用の洗剤、助剤も水洗用とドライ用の二種に分けられています。水を使う水洗では油汚れが落ちにくく、また溶剤を使うドライでは水溶性の汚れが落ちにくいという問題を洗剤がカバーすることになりました。

 

2.ドライ洗剤の目的、溶剤湿度の発見

ドライ洗剤の目的は水溶性汚れに対する洗浄力です。水溶性の汚れを落とす方法としてドライ機ワッシャー内で極めて微粒子な水分をいれて湿度洗いをすることが理想的です。この極めて微粒子状の水分湿度が小さくなればなる程水分の悪影響を防ぐことができます。

 

外は雨が降っていても室の中では濡れることはありません。室内の空気中にもたくさんの水分がある訳です。しかし室内では外の雨のように濡れません。同じ水分でも水の粒子が違います。室の中は細かい水の粒子が空気中に散らばっています。

 

3.理想の相対湿度75%MA値35以下の洗い

溶剤相対湿度というのは溶剤と空気との境界面の空中湿度を計って溶剤湿度としています。

 

米国のIFI研究所や日本クリーニング研究所等ではこの相対湿度75%の時が最も水溶性の汚れが落ちやすく、また洗濯物の水による衣類の損傷ダメージが少ない洗い方と発表しています。

 

ドライで水分を湿度として利用し、微粒子化した安定な状態で活用すると実に効果的な水溶性の洗浄力を発揮してくれます。この水の安定した状態が長く続かないとトラブルが起きます。

 

4.不安定な水の添加は事故の元 

不安定な水や粒子の大きい水は、夏や冬、朝晩の温度の変化で不安定になります。ドライでも分離した水分はただの水です。単独に水として作用するためMA値を上げてシワ縮みの原因になります。

 

一時期パークドライで水を添加して洗うエマルジョン洗浄が注目されましたが、ワッシャー内の水の粒子が大きいために、やはりシワや色泣き、縮みが発生したりして、大変水の扱い方に手間がかかっていました。ズボンはいいけど上着はチョットねと言われた声をよく耳にしました。 

 

5.油と水の分散技術がドライを改革

水の安定分散技術はドライEXや乾洗王、油洗王などに応用されています。微粒子化しているために安定性があります。不安定な水分の使用は時間の経過とともにトラブルのもとになります。

 

6.抱水性ソープと溶剤管理 

抱水性のソープで水分を取る方法では@溶剤中にどの位水が混ざったか解らない。A溶剤中の水分が冷却され時間の経過とともに分離してベースタンクの底に溜まり悪臭を発生させる。B綿類を入れて洗うと水分を吸収し縮み色泣き逆汚染が発生する。等の問題が起きていました。

 

またフィルターのろ紙面に水分がつくとろ紙を湿らしてこの部分に抱水性のソープが粘りついてベトつきます。

 

その結果溶剤をポンプで循環すればする程ソープが吸着され流量が減りフィルター圧が上ってきます。抱水性ソープがろ紙面に吸着されているかどうかは取り出したエレメントを天日で乾かしてみるとわかります。黒くベトッとして乾きません。

 

7.非抱水性ソープと溶剤管理  

ドライEX16b.jpg例えばノーソープの状態であれば溶剤は水を抱かないので溶剤中に水分は溜まりません。水を全く抱かない非抱水性のソープを使用した場合濡れた衣類を洗って衣類の水分は溶剤に混ざりません。

 

乾燥中に溶剤といっしょに蒸発して水分離から排出されます。衣類から持ち込まれる水分は殆んど溶剤中には混ざりこまないわけです。

 

非抱水性のソープEXホワイトは、ろ紙表面の水分に絡みつきませんのでエレメント表面はサラサラと乾いて寿命が長く持ちます。取り出した後天日にあてますとろ紙表面は乾きます。

 

 ドライEXは水分が混ざっていることで、第四類第二石油類ですが指定数量の大きい「水溶性液体」として消防庁外郭のデーターベースに登録されています。

 

8.ソープの特質と機能

乾燥機の引火爆発を防ぐ為にソープを入れて静電気の発生を防止します。洗剤をドライ溶剤に入れると溶剤の体積抵抗値(電気を通過させる能力)が低くなりワッシャー内の静電気を地中へ逃がしてしまうことができます。

 

この洗剤の成分が適正量添加されることによって、衣類の静電気を防いだり柔軟性を出したりして衣類の復元加工性能を持たせてくれます。衣類の洗浄加工性能を上げることはドライ洗剤の重要な要素です。

 

このそれぞれに関連した@溶剤と機械 A機械と洗剤 B洗剤と溶剤 とこの正三角形のそれぞれの三つの点を結ぶ線上にクリーニング問題の解決ヒントがあります。

 

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