汗抜きクリーニング、その理論と実践

1.汗の汚れを取り除く汗ぬきシール

汗を除去する方法として、現在ドライして油脂分を取り、水洗ウェットして塩分、たんぱく質、臭いを取り除くWウオッシュクリーニングが推奨されています。

 

2.Wウオッシュクリーニングの洗い

水洗・ウエットだけでは、塩分や臭い取れますが皮脂、脂肪等の油分が取れません。汗抜きクリーニングでは、二度手間にはなりますが、ドライしてから水洗ウエットする方法が完璧です。

 

3.素材の多様化で「水」に落とせない衣類が増加。

汗ぬきポスターウールやシルク素材では水に落とすと色泣き縮みなどのクレームが発生してしまいます。そのため宣伝して集めても乾燥や仕上げに手間がかかり、しだいに敬遠されてきました。

 

4.水による避けられない衣類のダメージ

これは水に落とすことによって、水と機械の物理的な力による作用メカニカルアクションMAで生地の収縮やフェルト化現象が起きるためです。

 

5.汗汚れを落すには、機械力が欠かせない。

しかし洗浄には物理的な機械作用、タタキ効果が欠かせません。水に漬け込むだけでは汗汚れの塩分は取れても固形分の汚れは取れません。

 

6.ドライはMA30以下で素材に安心。 さらさらポスター

水洗ウェット洗浄研究報告ではMA値が40以上になり、ドライの洗浄ではMA値が24以下と低く、素材で見れば水よりドライの方がダメージが少ないと報告しています。

 

7.ドライで塩分や汗の臭いが取れるだろうか。

では汗汚れはドライで落ちるのでしょうか。先ずは汗の正体を調べなければそれを取り除くことはできません。汗の成分や組成を調べて化学的に対応することが必要になってきます。

 

8.汗を化学的に検証「汗の成分と組成」

汗の成分はどのようになっているのでしょうか。ク研究機関の調査では、汗の成分のほとんど98%以上が水分となっていて、塩分は0.3%以上、ほかは尿素・乳酸・アミノ酸・アンモニアなど0.1%です。

 

9.人工汚染布で汗の洗浄力を測定

会報49裏汗の洗浄力を評価するには、汗の成分を再現する汚染布を考え洗浄力を確かめるこが必要です。

 

10.汗落ち試験を醤油汚染布で検証 

汗抜き試験の評価として醤油の原液を綿布に付着させた汚染布をつくり、洗浄力を測定してみました。

 

11.醤油の成分と「醤油汚染布の内容

透過率-1醤油の成分について汗の成分の比較すると塩分の量で17倍〜27倍、アミノ酸量で60倍〜100倍と醤油の成分の方が汗の成分よりも圧倒的に濃度が高く、醤油汚染布の方が汗の30倍から100倍の高濃度な試験布になっています。

 

この醤油汚染布を使って洗浄試験を行い、醤油(黒色)の反射率(脱落率)で洗浄力を測定してみました。この黒色の脱落率は汗の臭いの除去率に相当し汗の臭いの落ち具合を計る目安になると思います。

 

12.汗落ち試験に塩分の重量測定を検討

醤油の黒色は主にアミノ酸と有機物の色です。醤油の黒色の変化だけを見て塩分の除去率を測ることにはなりません。塩分は白色の結晶ですから白を測るには無理があります。

 

色で判断がつかないとすればやはり精密な微量電子天びんを使い塩分の重量変化を計って洗浄力を測定してみるしかありません。精密電子天びんでは千分の一グラムまで計れます。

 

13.重量測定に欠かせないデシケーター(乾燥容器) 

微量の塩分を精密計量するわけですから汚染布に付着している「水分」を完全に蒸発除去しなければ正確な重量測定はできません。

 

14.汗落ち試験「水分と洗浄力の関係」

洗浄後汚染布を乾燥して水分を除去したあと汚染布の反射率と重量を測定しました。この試験では汗抜き洗剤「乾洗王」をそれぞれ0.3%、0.6%、0.9%、1.2%、1.5%と次第に濃度を上げて計測を続けました。.\カールフィッシャ

 

塩分の除去率は醤油の色落ち反射率だけでは正確に判断はできませんので汚染布の塩分の重量を洗浄前、洗浄後で測定してその重量差を塩分の除去率として洗浄力を測定しました。

 

上の写真はカールフィッシャー微量水分測定器です。洗浄液の水分測定を行い溶剤中の微量水分の濃度を測ります。洗浄力と洗浄溶剤中の水分の関係を調べました。

 

15.汗落ち試験「ソープ濃度と洗浄力の関係」

洗浄試験の結果、汗を取るには水分がなければ取れないことがはっきりしています。ドライ溶剤に水分を微量に混ぜて取る方法が汗抜きドライの基本的な洗浄方法です。

 

この洗浄試験の結果、汗抜きドライでは、溶剤中の水分濃度が増えるに従って洗浄力が上っています。1.2%の有馬義ソープの濃度で水分が約3800PPM、洗浄力が70%を超えています。

 

汚染布の固形分重量の変化で見る洗浄力は、洗浄前の原布に付着する醤油の固形分30.9rが洗浄後には26.3r除去されて、洗浄力は85%になりました。

 

また、洗浄前と後の反射率で黒色の変化を見た洗浄力は70%となっています。この反射率計の洗浄力70%は汗の臭いの元になる尿酸やタンパク質アミノ酸の除去率の目安になります。

 

 16.汗落ち試験「溶剤管理と水分のコントロール」 

汗抜き洗浄試験の結果、一般のドライソープの濃度を2倍3倍に増やしても水分がなければ汗は落ちないという事がわかりました。シリコン&乾洗王02b.jpg

ドライでは、水分なしではどんなソープを使っても汗は落ちないということです。事故もなく安心して汗汚れが取れる基準値は 溶剤相対湿度75%と言われています。AMGでは水分濃度2,000PPMのドライ洗浄を汗抜きドライの目安にしています。

 

通常のドライでは水分濃度200PPM以下です。これでは汗は落ちません。水を使う洗い方は水分のコントロールが非常に困難です。過剰な水分によってシワや色泣き縮みなどトラブルが発生します。溶剤湿度75%以上になると事故がおきると指摘されています。

 のぼり

また、水分とソープによってドライ溶剤のベタ付きが起こりフィルター圧が上昇したり、溶剤が着色したりして色泣き、逆汚染などが発生し溶剤管理が困難になります。洗いのコストが上がります。

 

AMGの汗抜きドライのAQSシステムは、こうした弊害や問題点について研究してきました。今日では水分の安定利用と安定分散の新技術によってドライと水分の問題を解決してドライで汗抜きができるようになってきました。

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