第二要素「機械」〜 たたく力と生産性

1.クリーニング業の幕開け 

19世紀になってから動力が開発され電気が使われるようになって産業革命が起こりました。電気を利用する商業洗濯が始まり、洗濯の生産性が高められました。

 

ドライクリーニングも西洋式洗濯として明治以降日本でも取り入れられるようになりました。商業洗濯は洗いを請け負うホールセールの時代から
自家ドライへの時代になり、そして集中処理工場スタイルからユニット、パッケージ方式の業態と変遷してきました。

 

どんどん集めてどんどん洗うという風潮は生産性のアップという時代の要請に応えて昭和の終りまで続いていました。この洗濯の第二の要素は「機械」です。

 

2.洗浄評価システムの研究 

平成11年(1999年)洗濯方法についての画期的な洗濯研究会がスタートしました。

 

ウェットクリーニングの研究でしたが、同時に家庭洗濯機と石油ドライ機の試験検証も行われました。実際の試験は十三回の洗浄方法で行われ、@洗浄時間A洗濯物の収縮率B損傷の程度を調べるMA(デンマーク製)布C工程時間D洗浄力を調べる人工汚染布(七種類)を使いスーツ上下十着といっしょに洗浄試験されました。

 

3.安心のMA値30以下の洗い

調査報告書によるとウェット洗濯では、衣類の損傷の目安となるMA(メカニカルアクション)値が30〜40程度ならば収縮率が3%以下でフェルト化が起こらない。MA値の30〜40を限度とするのが妥当と発表しています。

 

4.家庭洗濯機のMA値は54、石油ドライではMA値24

標準的な家庭洗濯機の洗いではMA値が54を示し、収縮率も6.1と6.5の数値の結果でした。

 

また今回のテスト中に厚生科学研究の石油ドライ機の洗浄試験のデーターでは、ドライ洗浄時間15分、工程時間20分の洗いでMA値はなんと24。MA30以下の安心洗いで理想的な数値を示していました。

 

ドライ機のタタキ洗いの効果は水で洗った家庭洗濯の洗浄率をほぼ上回っていてドライ機が水洗の家庭洗濯機以上の洗浄力を発揮していたという驚きの結果でした。

 

5.見逃せない機械のタタキ洗浄効果 

「まさか石油でドライでそんなことはないでしょう」と思われる方も少なくないと思います。

 

では、なぜウェットは思ったより汚れが落ちてないのでしょうか。「水に落とせばサッパリだ。完璧な汗抜きクリーニングするならウェット・水洗だ」と考えておられる方も多いと思います。

 

このサッパリ感や完璧な洗いというのは恐らくYシャツ洗いのようなMA値50以上の機械力でゴシゴシと水洗した洗濯のイメージを持っておられるのではないかと思います。

 

6.水洗機の標準洗いはMA値は50以上

水に浸けただけでは汗は取れても汚れは取れません。汗は水につけるだけで落ちる訳ですがシミや汚れや泥ホコリ、ゴミは機械力がなければ落ちません。やはりゴシゴシとワッシャーでもみ込んで洗わないと汚れは芯から落ちてきません。

 

しかしウールなどゴシゴシ洗うと洗濯物の損傷率、MA値が上がってしまい色泣きや縮み、変型等の事故が発生してしまいます。

 

7.家庭ドライは失敗のもと 

家庭洗濯機の標準洗いではMA値が52以上ありドライ洗い指定の衣類は事故になります。

 

洗浄力という点から見れば機械のタタいたりもんだりする機械力は見逃せない重要な要素です。ですから水に落としても十分な機械力が無ければ汚れは落ちません。

 

石油ドライで10分、20分と機械力を使ってもみこんで洗うことで総合的にウェット洗いよりも固形分は良く落ちるという結果をこの研究は示しています。

 

8.ドライ機の洗浄力アップ にタタキを活用

洗浄・洗濯の第二要素はこの「機械力」です。ドライ溶剤はMA値は24または30以下で損傷を与えないという特性を持っています。

 

また10分、20分と機械のタタキ効果を加えて洗うことで泥、ゴミ、ホコリなどの固形物の汚れも良く取れます。ドライ溶剤では取れないのは水溶性の汚れですが、水溶性に対する洗浄力は次の第三要素「洗剤」で決まります。

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